引っ越しを控えてワクワクする反面、「洗濯機の水抜きってどうやるの?」「新居での設置は業者に頼むべき?」といった家電の準備に頭を悩ませていませんか?
特に洗濯機は、水が残ったまま運ぶと水漏れや故障の原因になるだけでなく、最悪の場合、引越し業者から追加料金を請求されるリスクもあります。
忙しい引越し作業の中で、家電の手順一つ一つに時間をかけるのは大変ですよね。しかし、この最初の準備でつまづくと、その後の運搬や新生活に大きなトラブルを招きかねません。
ご安心ください。この記事は、あなたのそんな不安を一掃するために作成された、洗濯機の引越し準備に関する「完全版ガイド」です。
✅ この記事を読むとわかること
私たちは、洗濯機の水抜きから新居での設置まで、読者が抱えるあらゆる疑問を解消するために、以下の重要なポイントを網羅的に解説します。
- 【必須】水抜きをしないとどうなる?(水漏れ・故障・追加料金のリスク)
- 【いつやる?】水抜き作業の最適なタイミング(引越し前日がベストな理由)
- 【手順】縦型・ドラム式別の「水抜き」完全ガイド(給水・排水・フィルターの処理)
- 【運搬】横積みは絶対にNG!安全に運ぶための梱包と注意点
- 【節約】新居で洗濯機を「自分で」設置する詳細手順と水漏れ防止策
- 【騒音対策】水平設置で失敗しないための最終チェックポイント
- 【費用】運搬費用を抑えるコツと万が一の保険適用範囲
このガイドを読めば、もう高額な業者オプションに頼る必要はありません。洗濯機の取り外しから設置まで、すべて自分でスムーズに完了し、無駄な出費やトラブルを回避できます。引越し当日に焦らないよう、まずは「水抜き」の正しい手順とベストなタイミングをここで確認し、トラブルゼロの新生活をスタートさせましょう!
さあ、具体的な準備手順に進みましょう。
- 🚨 なぜ必須?引っ越し前に洗濯機「水抜き」をする理由とリスク
- ⏰ 洗濯機「水抜き」の最適なタイミングと準備(前日までのチェックリスト)
- 💧 【機種別】洗濯機「水抜き」の完全手順(縦型・ドラム式)
- 🚚 洗濯機を安全に運搬するための梱包と注意点(縦向き・横向きのリスク)
- 🛠️ 新居で洗濯機を「自分で」設置する全手順とプロとの比較
- 新居到着後の確認事項:水平な設置場所と搬入経路の計測
- 給水ホース・排水ホースの正しい取り付け方と水漏れ防止策
- 自分で設置する際の注意点:部品の紛失対策とアース線接続
🚨 なぜ必須?引っ越し前に洗濯機「水抜き」をする理由とリスク
「水抜き」と聞くと面倒に感じるかもしれませんが、これは単なる事前準備ではなく、運搬中のトラブルや洗濯機本体の故障を防ぐための最重要工程です。もし水抜きをせずに洗濯機を運搬した場合、その代償は追加料金や高額な修理費用、さらには水濡れ事故といった形で返ってくることになります。
ここでは、なぜ水抜きが必須なのか、その根拠と、リスクの詳細について専門的な視点から徹底的に解説します。これらのリスクを事前に把握することが、スムーズな引越しへの第一歩です。
水抜きをしないと運搬中に起こる「水漏れ事故」のリスク
洗濯機を水抜きせずに運搬する最大のリスクは、なんといっても「水漏れ事故」です。洗濯機内には、洗濯槽、給水ホース、排水ホース、そしてドラム式の場合は排水トラップやドレンなどに、想像以上に多くの水が残っています。
一般的に、縦型洗濯機で約1〜3リットル、ドラム式洗濯機では構造上、さらに多くの水が残ることがあります。これらの残水は、運搬中の振動や傾きによって、次のような深刻なトラブルを引き起こします。
1. 荷物や建物の水濡れ・損傷
運搬時に洗濯機が揺れたり、トラックに積み込んだりする際に、残水がホースの接続部や排水口から漏れ出します。これが原因で、
- 旧居の床や壁を濡らしてしまい、退去時の原状回復費用が発生する。
- 新居への搬入時に、新居の床や内装を濡らしてしまう。
- 一緒に運んでいるダンボールや他の家具・家電製品が水浸しになり、損傷する。
特に、集合住宅の場合は階下への漏水事故に発展する可能性もあり、**数百万単位の損害賠償**を請求される最悪の事態も想定されます。水抜きは、自分の荷物だけでなく、建物の保護と他者への配慮という意味合いも持つのです。
2. 運搬作業員の転倒事故リスク
運搬中に水が漏れて、床やトラックの荷台が濡れると、引越し作業員が足を滑らせて転倒するリスクが高まります。これにより、作業員が怪我を負うだけでなく、洗濯機本体や他の荷物を破損させてしまう二次被害にもつながります。引越し作業の安全性を確保するためにも、水抜きは欠かせない工程です。
水が残っていることによる故障・感電リスク(特に電源周り)
水漏れ事故とは別に、洗濯機内部に残った水は、家電としての洗濯機本体に直接的な故障リスクをもたらします。
1. 内部基盤やモーターのショート・故障
洗濯機には、給水ポンプ、排水ポンプ、モーター、そして複雑な制御を行う電子基板が内蔵されています。これらの部品は通常、水が浸入しないよう設計されていますが、運搬中の激しい振動や傾き(特に横倒し)によって、残水が思わぬ隙間から内部の**デリケートな電子部品や配線に侵入する**ことがあります。
- 電源コードやアース線周りの濡れは、ショートや漏電を引き起こし、新居で電源を入れた瞬間に動作不能になる可能性があります。
- ドラム式は、構造が複雑なため、水抜きが不完全だと残水がモーターや制御部に到達しやすく、故障リスクがより高くなります。
メーカー側も、水抜きをせずに運搬したことによる故障は、多くの場合保証対象外としています。修理には数万円の費用がかかることも珍しくありません。
2. 衛生上の問題(カビ・異臭)の発生
洗濯機内に残った水は、単なる「水」ではなく、洗剤の残りカスや衣類の汚れ、雑菌などが含まれた「汚水」です。水抜きをせず、そのまま数日~数週間放置されると、湿った状態が続き、**カビや雑菌が繁殖**しやすくなります。これにより、
- 新居で初めて洗濯機を使った際に、異臭や黒いカスが出てくる原因となる。
- 洗濯槽の裏側などに頑固なカビが発生し、洗濯槽クリーナーでは落ちない状態になってしまう。
水抜きは、洗濯機を清潔な状態で新居に運び、気持ちよく使い始めるための「衛生管理」の側面も持っているのです。
引越し業者から「水抜き不備」で追加料金を請求されるケース
引越し業者を利用する場合、水抜きが不完全だと、予期せぬ追加料金が発生する可能性があります。
1. 運搬時の水漏れによる作業中断と遅延
洗濯機を運び出した際、またはトラックに積み込んだ際に水が漏れ出ると、業者は作業を中断し、水の拭き取りや周囲の養生をやり直す必要が生じます。この作業の中断や遅延は、業者のスケジュールに大きな影響を与えるため、「水抜き不備による作業追加料金」として請求されることがあります。
2. 業者のサービス範囲外の作業
多くの引越し業者は、荷物の運搬をサービス範囲としていますが、**「水抜き」は基本的に依頼主であるお客様の責任**とされています(オプションサービスがある場合を除く)。
業者が水漏れを発見し、緊急で残りの水抜き作業や乾燥作業を代行した場合、それは当初の契約外の追加作業とみなされます。特にドラム式洗濯機で複雑な排水フィルターの処理が必要になった場合、別途専門的な作業費を請求される可能性が高まります。
💡 プロが教える水抜き料金の節約術
引越し業者に運搬を依頼する際、水抜き作業をオプションとして提供している業者もありますが、その費用は一般的に**3,000円〜5,000円程度**です。この水抜きは、手順さえ知っていれば誰でも簡単に、費用ゼロで前日に完了できます。
この後のセクションで具体的な手順を解説しますので、この数千円のオプション料金を節約するためにも、ご自身で水抜きを完了させておくことを強くお勧めします。
⏰ 洗濯機「水抜き」の最適なタイミングと準備(前日までのチェックリスト)
洗濯機の水抜きが必須作業であることは理解いただけたかと思いますが、次に重要となるのが「いつ行うか」というタイミングの問題です。引越し当日の慌ただしい中で水抜きを始めるのは、時間切れや作業漏れの原因になります。水抜きは、単に水を抜くだけでなく、内部を十分に乾燥させるための時間も必要です。ここでは、水抜きを行うべき最適なタイミングとその前の準備について解説します。
水抜きは「引越し前日」がベスト:所要時間と乾燥時間を考慮
結論から言うと、洗濯機の水抜きは引越し作業の「前日」に完了させておくのが最も理想的です。これには、時間的な余裕と、洗濯機本体の安全性の確保という2つの大きな理由があります。
1. 乾燥時間を含めたトータルの所要時間
水抜き作業自体にかかる時間は、機種や慣れによって異なりますが、約30分〜1時間程度を見積もっておけば十分です。しかし、重要なのは、水抜き後に給水ホースや排水ホース、そして洗濯機内部の残った水分をしっかりと乾燥させる時間です。
- 【乾燥の目的】内部に残ったわずかな水滴が、運搬中の振動で電子部品に触れて故障するのを防ぐため。また、カビや異臭の発生を防ぐため。
- 【推奨乾燥時間】できれば半日(12時間)以上、洗濯機のフタや扉を開けた状態で風通しの良い環境に置いておくことが理想です。
この乾燥時間を考慮すると、引越し当日の朝に水抜きを始めても、乾燥が間に合わず、リスクを抱えたまま運搬することになってしまいます。そのため、前日の夜までに作業を終えるスケジュールを組みましょう。
2. 引越し当日の慌ただしさを避けるため
引越し当日は、業者の到着、荷物の最終確認、電気・ガスの立ち会いなど、やることが山積みです。水抜き作業は、給水ホースの取り外しや排水口の処理など、水を使うため床が濡れる可能性もあります。前日までにこの作業を済ませておけば、当日は電源コードを抜いて運搬するだけとなり、大幅な時間短縮とストレス軽減につながります。
【水抜きスケジュール例】
| タイミング | 作業内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 引越し2日前まで | 洗濯機の使用を終了 | 最後の洗濯を済ませる |
| 引越し前日 夕方 | 水抜き作業開始 | 給水・排水・フィルターの水抜き(約30分〜1時間) |
| 引越し前日 夜〜当日朝 | 乾燥・最終準備 | フタを開けて自然乾燥。コードやホースの収納 |
| 引越し当日 | 運搬・搬出 | 水漏れリスクゼロで業者に引き渡す |
水抜き前に洗濯機周りの掃除・付属品の確認を行う
水抜き作業は、単に水を抜くプロセスであると同時に、洗濯機の本格的な掃除とチェックを行う絶好の機会です。このタイミングでしっかりと確認と掃除を行っておくことで、新居での設置がスムーズになり、洗濯機の寿命を延ばすことにもつながります。
1. 排水口と防水パンの徹底清掃
洗濯機を移動させるのは、数年に一度の機会です。洗濯機の下にある防水パン(受け皿)や排水口は、ホコリや髪の毛、石鹸カスなどが溜まりやすく、カビや悪臭の原因となっています。水抜きをするためにホースを外す際、排水口周りの汚れが目につくはずです。
- 排水トラップを分解し、内部のヘドロ状の汚れや髪の毛を徹底的に除去する。
- 防水パンは、濡れたタオルやスポンジで拭き掃除し、カビの発生を防ぐ。
- この掃除を怠ると、新居で設置した際に排水不良や悪臭の原因となります。
排水口の掃除を完了してから水抜きを始めると、外した排水ホースの先端を一時的に排水口に差し戻して残水を抜くこともできるため、床への水漏れリスクを最小限に抑えられます。
2. 付属品(ホース・金具など)の確認と紛失防止策
水抜き作業に伴って取り外すホースや接続金具、ネジなどの小さな部品は、引越し中に紛失しやすい代表的なアイテムです。これらの部品がないと、新居で洗濯機を設置できなくなるため、必ず以下の手順で管理してください。
- 給水ホース、排水ホース、各接続金具、蛇口に取り付けるニップル(給水栓継手)などの部品を取り外す。
- 外した部品は、水気を拭き取った後、ジップロックなどの密閉できる袋にまとめる。
- 袋の表面に「洗濯機 付属品」と大きくマジックで記入し、さらに写真も撮っておく(紛失時の確認用)。
- この袋は、**洗濯機本体に養生テープで貼り付ける**か、新居で最初に開ける「貴重品ダンボール」に入れるなど、紛失しないよう厳重に管理する。
小さな部品が一つ欠けただけでも、新居での設置時にホームセンターへ走ることになるため、この確認作業は非常に重要です。
運搬時に必要な「輸送用固定ボルト」の準備と確認(ドラム式)
縦型洗濯機と異なり、**ドラム式洗濯機**の運搬準備には、水抜きに加えて「輸送用固定ボルト(輸送ボルト)」の取り付けが必須となります。これを怠ると、洗濯機が確実に故障します。
1. 輸送用固定ボルトの役割と重要性
ドラム式洗濯機は、内部にあるドラム槽がサスペンション(吊り下げ装置)で宙吊り状態になっています。これは、高速回転時の振動を吸収するための構造ですが、運搬中の激しい揺れや衝撃に対しては非常に脆弱です。
- ボルトの役割:ドラム槽を本体の背面にガッチリと固定し、運搬中の不要な揺れや衝撃からサスペンションやドラム軸を守る。
- 未装着のリスク:ボルトがない状態で運ぶと、ドラムが暴れて内部機構が破損し、高額な修理または買い替えが必要になります。
このボルトは、洗濯機購入時に必ず付属しているもので、通常は洗濯機本体の背面に取り付けられています。引越し業者に運搬を依頼する場合でも、ボルトの取り付けは原則として依頼主が行うべき作業です。
2. ボルトの保管場所の確認と紛失時の対処法
輸送用固定ボルトは、洗濯機設置時に取り外され、取扱説明書と一緒に保管されていることが多いです。引越しの準備を始める前に、必ずその保管場所を確認してください。
- 【確認場所】取扱説明書、保証書、付属品ボックス、または洗濯機周辺の引き出し。
- 【もし見つからなかったら】すぐに洗濯機のメーカーと品番を伝え、ボルトのみを注文してください。引越し直前の注文では間に合わない可能性もあるため、早めの確認が肝心です。
また、引越し業者によっては、オプションでこのボルトの取り付け・取り外しを代行してくれるサービスもありますが、ボルト本体を紛失している場合は、業者も作業できません。最悪の場合、ボルトがないと運搬を拒否される可能性もあります。
💡 縦型洗濯機に「固定ボルト」は不要
縦型洗濯機には、ドラム式のような複雑なサスペンション機構がないため、輸送用固定ボルトは必要ありません。ただし、洗濯槽と本体の間にタオルや緩衝材を詰めて揺れを防ぐと、さらに安全性が高まります。
💧 【機種別】洗濯機「水抜き」の完全手順(縦型・ドラム式)
前セクションで水抜きの重要性とタイミングについて理解いただけたので、いよいよ具体的な作業手順に入ります。水抜きは、大きく分けて「給水ホース」「洗濯槽・排水ホース」「排水フィルター(ドラム式のみ)」の3箇所から水を排出する作業です。縦型とドラム式では一部手順が異なりますので、ご自身の機種に合わせて確認しながら進めてください。
給水ホースの水抜き手順:蛇口を閉めてからの脱水操作
給水ホース内の水は、洗濯機の電源を切り、そのままホースを外してしまうと勢いよく噴き出す可能性があります。必ず、以下の手順でホース内の圧力を抜き、残水を排出してください。この工程は、縦型・ドラム式共通です。
1. 蛇口(水栓)を完全に閉める
まず、洗濯機につながっている水栓(蛇口)を右に回して、水が一切出ないように完全に閉めます。水栓が2つ(給水用と風呂水用など)ある場合は、給水用を閉めてください。
2. 洗濯機を運転させ、ホース内の水を抜く
蛇口を閉めた状態のまま、洗濯機の電源を入れます。
- 【縦型】「標準コース」を選択し、「スタート」ボタンを押します。給水が始まろうとしますが、蛇口が閉まっているので水は出ません。そのまま1分ほど運転させたら、電源を切り、運転を停止します。
- 【ドラム式】「ドライコース」や「槽洗浄コース」など、水が少しだけ必要なコースを選択し、同様に1分ほど運転させたら電源を切ります。機種によっては「給水」のみの操作が可能な場合もあるので、取扱説明書を確認しましょう。
この操作により、給水ホースから洗濯機本体の給水口までの水が抜かれ、ホース内の圧力が下がるため、取り外し時の水漏れが最小限に抑えられます。
3. 給水ホースを取り外す
ホースを取り外す際は、タオルを水栓の下に敷いておきましょう。少量の水がこぼれる可能性があります。
- 水栓側:給水ホースと蛇口をつなぐ接続部品(ニップル)のレバーを操作したり、ネジを緩めたりして外します。機種により操作が異なるため、無理な力を加えないよう注意してください。
- 洗濯機本体側:本体側の接続部を回して取り外します。
外した給水ホースは、水が垂れないように、両端をビニール袋で覆い、テープでしっかりと固定しておきましょう。
洗濯槽と排水ホースの水抜き手順:脱水モードの活用と残水処理
次に、洗濯槽に残っている水と、排水ホース内に残っている水を排出します。この工程も縦型・ドラム式共通ですが、縦型の方が比較的シンプルです。
1. 洗濯槽内の水抜き(脱水)
洗濯機の中に衣類や付属品がないことを確認し、空の状態にします。
- 洗濯機の電源を入れ、「脱水コース」または「脱水のみ」を選択し、スタートさせます。
- 脱水が完了し、「ピー」という終了音が鳴るまでしっかりと運転させます。これで洗濯槽内の水はほとんど排出されます。
2. 排水ホースの取り外しと残水処理
脱水が終わったら、洗濯機の電源プラグを抜いて、作業中に誤って動作しないようにします。いよいよ排水ホースを外します。
- 排水ホースの先端が排水口(排水トラップ)から抜けないように、タオルやバケツを用意しておきましょう。
- 排水口から排水ホースを引き抜き、ホースを床よりも低い位置に垂らすことで、ホース内に残った水を排出します。
- 排水ホース内には、意外と多くの水が残っています。ホースを傾けながら、残水を完全に抜ききってください。
- 縦型洗濯機の場合、本体の排水口周辺に水が溜まっていることがあるため、ホースを外した後、本体を少し傾けて残水を排出するとより確実です(重いので無理は禁物)。
【注意点】排水ホースを外した後の排水口(排水トラップ)からは、下水の臭いが上がってくることがあります。必ず排水口にフタをするか、布やラップなどで一時的に密閉して、臭い上がりを防いでください。
ドラム式特有の「水抜き栓/フィルター」からの残水排出と注意点
縦型洗濯機の場合、上記2つの工程で水抜きは完了しますが、ドラム式洗濯機には、洗濯槽とは別の場所に「排水フィルター(糸くずフィルター)」や「水抜き栓」があります。ここに大量の水が残っているため、この作業は特に重要です。
1. 排水フィルター(糸くずフィルター)の場所と役割
ドラム式洗濯機の多くは、本体の前面下部、小さなカバーの中に排水フィルター(または糸くずフィルター)があります。このフィルターは、排水ポンプで水を排出する前に、ゴミや糸くずを受け止める役割を担っています。フィルター周りには、排水ポンプにつながる**配管内の残水**が溜まっています。
2. ドラム式特有の残水排出の手順
この部分から水を抜くには、必ずバケツや洗面器、雑巾を準備してください。勢いよく水が出てくるため、床を濡らさないように細心の注意が必要です。
- 本体下部のカバー(点検口)を開けます。
- 排水フィルターの下に、水を受け止める容器(バケツなど)を配置します。
- フィルターのネジやツマミを**ゆっくりと、少しずつ**緩めます。一気に緩めると、水が噴き出してくるため危険です。
- 残水が完全に抜けきるまで、ツマミを緩めた状態を維持します。機種にもよりますが、**1〜3リットル程度の水**が出てくることがあります。
- 水が出なくなったら、フィルターを完全に外し、内部の糸くずや汚れを掃除します。
- フィルターを元通りにしっかり締め直します。
【重要】この残水は、比較的汚れている場合が多いです。また、水抜き栓がないタイプのドラム式洗濯機の場合、排水ホースを抜くだけでは残水が抜けきらないことが多いです。必ず、フィルター(栓)からの排出作業を行ってください。
3. 最終確認と乾燥への移行
水抜き作業がすべて完了したら、最後に以下の確認を行い、本体の乾燥に入ります。
- 給水ホース、排水ホース、電源コード、アース線を取り外し、まとめて付属品袋に入れたか。
- 排水フィルター、または水抜き栓を完全に閉めたか。
- 洗濯槽のフタ(縦型)や扉(ドラム式)を開けた状態にし、内部の湿気が抜けるようにする。
- ドラム式の場合は、忘れずに輸送用固定ボルトを取り付けたか。
これらの準備を前日に済ませておくことで、引越し当日の運搬が驚くほどスムーズになります。次のセクションでは、いよいよ安全な「運搬」のための注意点について解説します。
🚚 洗濯機を安全に運搬するための梱包と注意点(縦向き・横向きのリスク)
水抜きとドラム式の輸送用ボルト取り付けが完了したら、いよいよ運搬フェーズです。洗濯機は重いだけでなく、内部のデリケートな機構を守りながら運ぶ必要があり、運搬方法を誤ると、その場で故障の原因になりかねません。特に「横向き運搬」は絶対に避けるべき危険行為です。ここでは、安全かつ確実に洗濯機を運ぶための鉄則と、自力で運搬する際の具体的なコツを解説します。
運搬時の鉄則:洗濯機は「縦向き(垂直)」に運ぶ理由
洗濯機は、縦型・ドラム式を問わず、必ず設置時と同じ「縦向き(垂直)」の状態を保って運ぶのが鉄則です。この鉄則を破り、横向きや大きく傾けた状態で運搬すると、致命的な故障や水漏れを引き起こす可能性が極めて高くなります。
1. 横向き運搬がもたらす致命的なリスク
横向き(水平)に倒して運搬することが推奨されない、または厳禁とされる理由は、以下の内部構造の特性にあります。
- 【縦型】洗濯槽が本体ケース内部でバネやダンパーによって吊り下げられています。横向きに倒すと、この洗濯槽が自重で横にずれ、本体ケースやモーター、配線を強く叩きつけ、破損させるリスクがあります。特に脱水時の高速回転に耐えるための重量バランスが崩壊します。
- 【ドラム式】ドラム式は構造がさらに複雑で、**輸送用固定ボルトが唯一の防御策**です。ボルトで固定しているとはいえ、横倒しにすることでドラムのサスペンション機構に設計外の負荷がかかり、部品の歪みや故障につながります。また、わずかに残った水が、電子基板やモーター部に回り込む可能性が格段に高まります。
多くのメーカーは、横倒し運搬による故障を**保証対象外**と定めています。運搬中は、一時的に傾ける必要があっても、必ず立てた状態を維持するように努めてください。
2. 運搬時の最適な傾斜角度(例外的なケース)
エレベーターのないマンションの上階や、狭い階段を通る際など、どうしても洗濯機を傾けなければならない状況があるかもしれません。その場合でも、**縦型、ドラム式ともに、傾ける角度は45度以内(メーカーによっては30度以内)**に留めるのが安全な限界です。
- 傾斜角度が浅いほど、内部の負荷は少なくなります。
- 階段で運ぶ際は、必ず**下側(底部)を階段に沿わせる形**で、ゆっくりと慎重に運び上げてください。
自力運搬時の運び方:重心の取り方と安全な持ち上げ方(2人以上推奨)
洗濯機は非常に重く、大型のドラム式では**70kg〜90kg**にもなります。自力で運搬する場合は、安全を最優先し、適切な人員配置と運び方を実践してください。
1. 運搬は「2人以上」が鉄則、持ち運びやすい場所を選ぶ
重さに関わらず、洗濯機は重心が高く不安定なため、最低でも**2人以上**での運搬が必須です。特に階段や段差がある場所では、人員を増やし、常にバランスが取れるようにしてください。
- 【持ち手】洗濯機の側面下部には、運搬用の「取っ手」または「くぼみ」がある場合が多いです。必ずこれらの指定された部分か、本体のしっかりとした下部を持ちます。
- 【重心】洗濯機の重心は一般的に底部に集中しています。運搬中に重心が傾くとバランスを崩しやすいため、重心を崩さないよう、持ち上げる際は一度に真上に引き上げようとせず、周囲に注意を払いながら垂直を意識してください。
2. 階段・段差での運び方:上側と下側の役割分担
階段での運搬は最も危険な場面です。以下の役割分担を徹底してください。
- 【上側担当】主に洗濯機のバランスを制御し、垂直に近い状態を保つ役割。重心が上側に傾きすぎないよう注意し、進行方向の視界を確保します。
- 【下側担当】主に洗濯機の重さを受け止め、安全に段差を昇降させる役割。腰を落として膝を使い、腰に負担をかけすぎないように注意します。
運ぶ前に必ず声を出し、持ち上げるタイミングや段差を越えるタイミングを合わせる「声かけ」を徹底しましょう。一人が無理な体勢になると、連鎖的に事故につながります。
3. 台車・ドーリーの活用(屋内・屋外)
長距離の移動や、マンション内での運搬には、「台車(ドーリー)」の活用が非常に有効です。ただし、台車に乗せる際も、水平を保ちながら慎重に乗せ、固定ベルトなどで洗濯機本体と台車をしっかりと固定してください。台車から外す際も、バランスを崩さないよう注意が必要です。
運搬前の最終梱包:ホース・コードの固定、蓋の養生テープでの封印
運搬中の振動による故障や部品の破損、紛失を防ぐために、最後に丁寧な梱包を行います。水抜きが完了した後に、以下の最終チェックと梱包を行ってください。
1. ホース・コード類の固定と収納
取り外した給水ホースや排水ホース、電源コード、アース線は、運搬中にブラブラしたり、他の荷物に絡まったりして破損するのを防ぐ必要があります。
- ホース類:ビニール袋にまとめ、**洗濯機本体の背面や側面に養生テープでしっかりと貼り付けます。**ホースが長くて邪魔な場合は、コード類と一緒に本体に固定することで、運搬時の引っかかりを防げます。
- 電源コード:電源コードは本体裏面のフックなどに綺麗に巻き付け、先端のプラグ部分が露出しないように養生テープでカバーします。
付属品は、前セクションで準備した「付属品袋」に全て入っていることを再確認しましょう。
2. 蓋・扉の養生テープによる封印(特に縦型)
運搬中の振動で、洗濯機のフタや扉が開き、洗濯槽が揺れる原因となることがあります。特に縦型洗濯機は、蓋が簡単に開いてしまうため、必ず固定が必要です。
- 縦型:フタを閉じ、**本体とフタをまたぐように養生テープで「H型」または「十字」にしっかりと固定**します。この際、液晶パネルや操作部に直接テープを貼ると、剥がす際に損傷を与える可能性があるため、縁の部分に貼るように注意します。
- ドラム式:ドラム式の扉はロックがかかっている場合が多いですが、万が一の振動で開かないよう、扉と本体の隙間を埋めるように養生テープを貼っておくと安心です。
3. 本体全体の養生と緩衝材の活用
洗濯機の運搬は、階段やドア枠など、様々な場所にぶつかるリスクがあります。外装のキズや凹みを防ぐために、適切な養生を行いましょう。
- **本体保護:**引越し用のキルティングパッド(布団や毛布でも代用可)や、エアキャップ(プチプチ)を洗濯機全体に巻き付け、さらに梱包用ラップでぐるぐる巻きにして固定します。
- **角の補強:**特に衝撃を受けやすい四隅(角)には、厚紙やダンボールの切れ端などを当てて補強し、上からテープで固定すると効果的です。
これらの準備を徹底することで、洗濯機の故障リスクを最小限に抑え、新居でのスムーズな設置へとつなげることができます。
🛠️ 新居で洗濯機を「自分で」設置する全手順とプロとの比較
運搬が完了し、新居に到着した洗濯機をいよいよ設置します。引越し業者に依頼した場合、設置作業は**オプション料金(3,000円〜1万円程度)**がかかることが一般的です。しかし、手順と注意点さえ押さえれば、洗濯機の設置はDIYでも十分可能です。このセクションでは、費用を節約しながら確実に行うための設置手順と、プロに頼む場合とのメリット・デメリットを詳細に比較します。
【自分で設置する vs プロに依頼する】比較表
| 項目 | 自分で設置する | プロ(業者)に依頼する |
|---|---|---|
| 費用 | 0円(部品代除く) | 3,000円〜10,000円程度のオプション料金 |
| 時間 | 30分〜1時間(準備・試運転含む) | 15分〜30分で完了 |
| メリット | 費用節約、好きな時間に作業可能、構造の理解 | **水漏れ・故障時の保証**、完璧な水平設置、**ドラム式輸送ボルトの確実な除去** |
| デメリット | 水漏れ・騒音リスクの自己責任、体力が必要 | 費用がかかる、時間の制約がある |
| 推奨機種 | 縦型洗濯機、小型のドラム式 | 大型・重量級のドラム式(特に高層階) |
新居到着後の確認事項:水平な設置場所と搬入経路の計測
設置作業を始める前に、洗濯機を置く場所と、その場所までの経路を最終確認することが、設置後のトラブルを防ぐ最も重要なステップです。
1. 搬入経路の再確認とドラム式固定ボルトの取り外し
洗濯機を設置場所まで運び入れる際、旧居での搬入経路を思い出し、新居でも問題なく通れるかを確認します。特に以下の点に注意してください。
- 【通路の幅】洗濯機本体の奥行きと幅が、ドアや廊下を通過できるか。特に、ドラム式はサイズが大きいため、幅が65cm以上あるかを確認してください。
- 【ドラム式特有の作業】ドラム式洗濯機を設置場所に運び入れたら、**絶対に電源を入れる前に、背面に取り付けた「輸送用固定ボルト」を取り外してください。**ボルトを付けたまま運転すると、激しい振動と異音が発生し、一瞬で内部機構が破損します。
取り外した輸送用ボルトは、次回引っ越しのために**必ず付属品袋に戻し、大切に保管**しておきましょう。
2. 設置場所の「水平」と「寸法」の確認
洗濯機の性能を最大限に発揮させ、振動や騒音を防ぐためには、設置場所が完璧に水平であることが不可欠です。
- 【水平確認】水平器(スマートフォンアプリでも代用可)を使い、防水パンまたは床が平らであることを確認します。わずかな傾きでも、運転時に振動が増幅され、騒音やガタつきの原因となります。
- 【設置寸法】洗濯機と壁や棚の間には、メーカー推奨の「隙間」が必要です。最低でも**左右5cm、後方10cm以上**のスペースを確保しないと、振動が壁に伝わって騒音になったり、熱がこもって故障の原因となったりします。特にドラム式は排熱スペースが必要です。
設置場所が完全に水平でない場合は、後述するアジャスター(脚)の調整、または防振ゴムや洗濯機かさ上げ台などで調整を行う必要があります。
給水ホース・排水ホースの正しい取り付け方と水漏れ防止策
水回りの接続は、水漏れリスクが伴うため最も慎重に行うべき作業です。一つ一つの接続部を確実に締め付け、漏れがないかを確認しながら進めましょう。
1. 給水ホースの取り付け手順と確実な締め付け
給水ホースの接続は、「ニップル(給水栓継手)」と「洗濯機本体」の2箇所です。
- 【水栓側】まず水栓(蛇口)に、ホース側のニップル(四つネジ)を取り付けます。ネジが緩んでいると、水圧で外れて大洪水になる危険があるため、**各ネジを均等に、強く締め付けてください。**ニップルが外れないことを確認してから、ホースをニップルにカチッと接続します。
- 【本体側】給水ホースのもう一方を、洗濯機本体の給水口に接続します。手でしっかりと回し、最後に増し締め(強く締めること)を行います。
水漏れ防止策:接続が完了したら、**水栓をゆっくりと全開**にし、**接続部から水がにじみ出ていないか**を最低でも5分間、タオルで触って確認してください。ここで漏れが確認されたら、すぐに水栓を閉め、締め付けが不十分でないか再確認します。
2. 排水ホースの接続方法と排水不良のチェック
排水ホースの接続は、水漏れよりも「排水不良(つまり)」に注意が必要です。
- 【排水口側】排水ホースを排水口(排水トラップ)に差し込みます。排水口の形状によっては、付属の接続用アダプター(L字型など)を使用し、ホースが抜け上がらないようにしっかりと奥まで差し込み、固定リングがあればそれで固定します。
- 【本体側】排水ホースを洗濯機本体の排水口に接続し、ホースバンド(付属の固定具)で締め付けます。
排水不良防止策:排水ホースは、**「緩やかな下り勾配」**になるように設置し、ホースが極端に折れ曲がったり、U字型にたるんだりしないようにしてください。たるんだ箇所に水が溜まると、それが原因で排水が滞り、エラーの原因となります。
自分で設置する際の注意点:部品の紛失対策とアース線接続
最後の仕上げとして、安全に使用するための電気接続と、忘れがちな重要パーツの処理を確認しましょう。
1. 最重要の「アース線」の確実な接続
洗濯機の設置で最も見落とされがちですが、電気的な安全を確保するために最も重要なのが「アース線(緑色または緑/黄色の線)」の接続です。
- 【アース線の役割】万が一、洗濯機本体の内部で漏電が発生した場合、その電気を安全に大地に逃がすための避雷針のような役割を果たします。
- 【接続場所】コンセントプレートや洗濯機置き場に設置されているアース端子(通常はカバーを外してネジで留める)に、アース線を接続します。
アース線を接続しないと、**感電事故**のリスクが高まるほか、雷などが原因で発生する**過電流による故障**から洗濯機を守ることができなくなります。安全のために必ず接続してください。
2. 付属部品と取扱説明書の管理(将来のための準備)
設置作業中に取り外した**ドラム式の輸送用固定ボルト**、そしてホース接続金具や取扱説明書一式は、**絶対に処分せず、一箇所にまとめて保管**してください。
- 引越し作業で使った**「付属品袋」**に、輸送用ボルトと、設置時に使わなかったホース部品などを全て戻します。
- この袋と取扱説明書は、今後洗濯機を修理に出す際や、再度引越しをする際に必ず必要になります。目立つ場所に「洗濯機関連」と明記した上で保管しましょう。
3. 試運転の実施と最終調整の重要性
接続が完了したら、すぐに洗濯を始めるのではなく、必ず次のセクションで解説する「試運転」を行い、水漏れや騒音がないかを最終チェックしてください。このチェックを怠ると、水漏れによる床の損傷や、騒音による近隣トラブルにつながる可能性があります。
- 【騒音対策】試運転でガタつきや大きな振動を確認した場合は、洗濯機の下にある**アジャスター(脚のネジ)**を回して高さを微調整し、本体がグラつかないようにしてください。
これらの手順を確実に行えば、プロに頼らずとも、安全で快適に使える洗濯機設置が完了します。
🏠 水漏れ・騒音を防ぐ!洗濯機設置後の最終チェックポイント
給水・排水ホース、そしてアース線の接続まで完了したら、いよいよ新生活で洗濯機を本格的に稼働させる前の最終チェックです。設置作業で最も大切なのは、「水平の確保」と「試運転による漏れのチェック」の2点です。この最終段階のチェックを疎かにすると、小さな傾きが大きな騒音トラブルに、わずかな接続ミスが大惨事となる水漏れ事故につながります。プロの視点から、見落としがちなチェックポイントを網羅的に解説します。
水平器を使った正確な水平設置と防振対策(かさ上げ台など)
洗濯機の水平設置は、快適な使用を決定づける最重要ポイントです。洗濯槽が高速回転する脱水工程では、わずか数ミリの傾きでも、振動が何倍にも増幅されて、**「ガタガタ」「ドン」**という異音や、最悪の場合、洗濯機が移動してしまう「歩き出し」現象を引き起こします。
1. 水平設置の調整手順(アジャスターの活用)
水平を確認するためには、必ず**水平器**(市販のもの、またはスマホの水平器アプリ)を使用してください。洗濯機の上部フチに水平器を置いて、前・後・左・右の**4方向すべてで気泡が中央に来る**ように調整します。
- 洗濯機のアジャスター(脚のネジ)を調整する: 洗濯機の脚には、高さを微調整するためのアジャスターが付いています。
- **ガタつきの確認**: 水平器で調整した後、洗濯機本体の対角線上の角を交互に押してみて、「ガタつき」がないかを確認します。指一本で押せるほどの僅かな揺れも許容できません。
- **調整のコツ**: 調整は、一番低い脚から始め、他の脚の高さをそれに合わせるように上げるのが基本です。床に傾斜がある場合は、水平器の指示に従い、高さを精密に合わせてください。
2. 防振対策の強化:防振ゴム・かさ上げ台のメリット
集合住宅や木造住宅の場合、完璧に水平に設置しても、床の構造上、振動や騒音が発生しやすいことがあります。その場合は、物理的な防振対策を導入することを強く推奨します。
- 【防振ゴム(マット)】: 洗濯機の脚の下に敷くことで、振動を熱エネルギーに変換し、床への伝達を大幅に軽減します。特に安価な縦型洗濯機には効果的です。
- 【洗濯機かさ上げ台(高床台)】: 高さ5~10cm程度あるプラスチックやゴム製の台座です。
- **騒音・振動対策**: 本体と床の間に空間を作ることで、振動を吸収・分散させ、騒音を軽減します。
- **排水口掃除の容易化**: 洗濯機を移動させずに、**排水口や防水パンの掃除が容易になる**のが最大のメリットです。
- **防水パンを跨ぐ設置**: 防水パンの形状が複雑で洗濯機を直接置けない場合に、台がその問題を解決してくれます。
💡 ドラム式は特に水平が重要
ドラム式洗濯機は、縦型に比べると重量があり、かつドラムが横回転するため、**わずかな水平の狂いが運転時のエラー(U04など)や異常振動に直結します**。縦型以上にシビアな調整が求められるため、水平器を何度も使用し、妥協せずに調整を行ってください。
試運転でチェックすべき3つのポイント(水漏れ・排水・異音)
水平調整とホース接続が完了したら、実際に水を使って運転し、最終的な動作チェック(試運転)を行います。試運転は必ず**「槽洗浄コース」や「最短の洗濯コース(水のみ)」**など、衣類を入れない空の状態で実施してください。
1. チェックポイント①:給水時の水漏れチェック
最も初期の段階で、給水時の水漏れをチェックします。給水が始まると、ホース内の水圧が最大になるため、接続不良があればすぐに判明します。
- 【確認箇所】: **水栓(蛇口)と給水ホースの接続部、および洗濯機本体の給水口との接続部**。
- 【チェック方法】: 給水中に、接続部を指で触り、水滴やにじみがないかを確認します。水が漏れている場合は、すぐに運転を停止し、水栓を閉めて接続部のネジや締め付けが不十分でないか再確認・増し締めしてください。
2. チェックポイント②:排水時の排水不良・水漏れチェック
次に、洗濯槽に溜まった水を排出し、排水ホース周りに問題がないかを確認します。
- 【確認箇所】: 排水ホースが排水口(排水トラップ)にしっかりと差し込まれているか。排水ホース本体が折れ曲がっていないか。
- 【チェック方法】: 排水時に水がスムーズに流れているかを確認します。もし「ゴボゴボ」という異音がしたり、排水口から水が逆流しそうになったりしたら、排水口のつまり、またはホースの折れ曲がりが原因の可能性があります。
- 【プロの視点】: 排水ホースを防水パンの縁などに養生テープで仮固定しておくと、排水時の水圧でホースが暴れて外れるのを防げます。
3. チェックポイント③:脱水時の異音・振動チェック
試運転のクライマックスは、最も振動が発生する「脱水工程」です。洗濯機の真横に立って、発生する音と振動を注意深く確認してください。
- 【確認箇所】: 洗濯機本体全体。
- 【チェック方法】: 脱水が始まり、高速回転に移る際に、「ガタガタ」「ドン」という異常な振動音や移動(ウォーキング現象)がないかを確認します。もし異常な振動があれば、直ちに運転を停止し、**水平調整が不十分でないか(脚のアジャスターを再調整)**、または**ドラム式の場合は輸送用ボルトが外れているか**を再確認してください。
- 【許容範囲】: 完全に無音にはなりませんが、本体が揺れ動いたり、床に響くような大きな低音が発生したりする場合は、設置に問題があります。
設置場所の環境整備:排水口の掃除と異臭対策
洗濯機の設置は、ただ本体を置くだけでなく、その周辺の環境を整えることで、新生活の快適さが格段に向上します。見逃しがちな排水口周りの衛生管理も、このタイミングで行っておきましょう。
1. 排水口の構造と定期的な掃除の重要性
新居の排水口が清掃済みであるかを確認し、もし掃除されていない、または古い場合は、一度分解清掃することをおすすめします。排水口の**「排水トラップ」**は、下水の臭いや害虫の侵入を防ぐための重要な役割を果たしています。
- 【トラップの役割】: 常に水が溜まる構造(封水)により、下水管からの悪臭や虫が上がってくるのを防いでいます。
- 【掃除の必要性】: 髪の毛、糸くず、洗剤カスが溜まりやすく、詰まりや悪臭(下水臭)の発生源となります。
洗濯機設置時にかさ上げ台を導入すると、以降の排水口清掃が非常に楽になります。清掃には、パイプ用洗剤や古い歯ブラシを活用し、トラップの各パーツ(フタ、ワントラップ、防臭パイプ)を徹底的に磨いてください。
2. 洗濯機周辺の湿気対策とカビ防止
洗濯機置き場(特に防水パンの中)は、湿気が非常にこもりやすい環境です。カビの発生は、悪臭だけでなく、アレルギーの原因にもなり得ます。
- 【換気】: 設置場所が洗面所や浴室に近い場合は、窓を開けたり、換気扇を回したりして、常に湿気を外部に排出することを意識してください。
- 【防水パン内の乾燥】: 設置の際、洗濯機本体を防水パンの端ギリギリではなく、数センチ離して置くことで、空気の通り道を作り、乾燥を促進できます。
この最終チェックと環境整備を完了すれば、あなたの洗濯機設置作業はすべて完了です。次セクションでは、引越しで業者を利用する際に気になる「費用」や「保険」について深掘りしていきます。
💸 洗濯機運搬の費用を抑える方法と引越し業者の保険適用範囲
洗濯機の運搬は、自力で行うか、引越し業者に任せるかで費用が大きく異なります。特にドラム式洗濯機は、構造が複雑なため、運搬・設置には専門的な費用が発生しがちです。ここでは、無駄な出費を抑えるための具体的な費用相場と交渉術、そして万が一の破損時にトラブルを避けるために必須となる引越し業者の保険適用範囲について、徹底的に解説します。
設置オプション料金の相場と自分で設置することで節約できる費用
引越し業者に運搬を依頼する場合、基本料金に含まれるのは、旧居での「取り外し」と新居での「搬入」までであることが多く、**「水抜き」**や新居での「設置(給排水ホースの接続)」は、追加のオプションサービスとして提供されるのが一般的です。このオプション料金を節約することが、費用を抑える最も簡単な方法です。
1. オプション料金の具体的な相場(縦型・ドラム式別)
引越し業者や時期、地域によって料金は変動しますが、おおよその相場は以下の通りです。
引越し業者オプション料金の目安
| 作業内容 | 縦型洗濯機 | ドラム式洗濯機 | 自分で作業した場合の節約額 |
|---|---|---|---|
| 水抜き・取り外し代行 | 3,000円〜5,000円 | 5,000円〜7,000円 | 最大7,000円 |
| 設置・給排水接続 | 3,000円〜8,000円 | 5,000円〜12,000円 | 最大12,000円 |
| 合計オプション費用 | 6,000円〜13,000円 | 10,000円〜19,000円 | 最大19,000円 |
特に**ドラム式洗濯機**は、水抜き・輸送用ボルトの取り付け/取り外し、そして複雑な給排水接続が必要なため、オプション料金が割高になる傾向があります。すべてのオプションを依頼すると、引越し費用とは別に**最大2万円近い出費**となるため、自分でできる作業は積極的に行うべきです。
2. 自分で設置することで節約できる最大の費用
前のセクションで解説した通り、**水抜き**、**輸送用ボルトの取り付け/取り外し**、そして新居での**ホースの接続**は、手順さえ間違えなければ自分で行うことが可能です。
- **水抜きと輸送ボルト**:これらを全て済ませておけば、業者は運搬のみに集中でき、**数千円〜1万円以上のオプション料金を丸々節約**できます。
- **設置(接続)**:新居での給排水接続も自分で行えば、**3,000円〜12,000円**の設置費用が節約できます。ただし、**水漏れリスクを完全に自己責任で負う**ことになるため、不安な場合は設置だけでもプロに任せる選択肢も考慮すべきです。
オプション料金は、引越し見積もりの際にまとめて提示されることが多いです。**「水抜きと設置は自分で行うので、運搬のみの費用で見積もってほしい」**と事前に交渉することで、見積もり額からオプション費用を差し引かせることが可能です。
ドラム式洗濯機の「輸送用固定ボルト」取り付け・取り外し代行費用
ドラム式洗濯機の運搬で、もっともトラブルになりやすく、費用が発生しやすいのが**「輸送用固定ボルト」**関連の作業です。
1. 固定ボルト作業の費用相場と業者のスタンス
ボルトの取り付け・取り外し作業は、単体でオプション設定されていることがあり、相場は**3,000円〜5,000円程度**です。ただし、多くの引越し業者は、水抜きとセットで「取り外し(水抜き+ボルト取り付け)」としてパッケージ料金に含めている場合が多いです。
- **引越し業者**:ボルトの存在は知っているものの、ボルト自体は依頼主が保管している付属品のため、紛失時の責任を負いたがりません。そのため、**ボルトの紛失時には作業を拒否されるか、ボルト代を別途請求される**リスクがあります。
- **家電量販店**:新しく洗濯機を購入し、古いものを下取りに出す際などは、取り外し・ボルト取り付け作業は**無料サービス**に含まれていることが多いです。
2. 自分でやる場合の注意点(費用の節約とリスク回避)
前セクションで触れた通り、ボルトの取り付け・取り外しは、**自分で確実に行っておくべき作業**です。これができていないと、運搬中の破損リスクが高まるだけでなく、業者が作業を代行する際に、**「ボルトの紛失」**を理由に高額な追加料金を請求される可能性もあります。
- **【節約の鉄則】**旧居から新居への運搬前後のボルト作業は、事前に取扱説明書を確認し、必ず自分で完了させておくことで、このオプション費用をゼロにすることができます。
- **【ボルトの紛失】**もしボルトを紛失していた場合は、引越し業者に依頼する前に、**メーカーから純正のボルトを注文(相場:1,000円〜3,000円程度)**し、引越しまでに手元に用意しておくのが最善策です。
運搬中の破損・故障時の保険適用条件と業者との責任範囲
最も心配なのが、運搬中に洗濯機が破損したり、新居で設置後に故障したりするトラブルです。引越し業者に依頼した場合、運搬中の事故は原則として**「引越し業者の保険」**でカバーされますが、**適用には厳格な条件**があります。
1. 引越し業者の「運送保険(運送業者貨物賠償責任保険)」の適用範囲
引越し業者は、国土交通省の定める**「標準引越運送約款」**に基づき、運送中の荷物に対する責任を負います。この約款に沿った保険(運送保険)の適用範囲は以下の通りです。
- 【適用対象】:**引越し業者の作業中(梱包、積み込み、運搬、荷降ろし、指定場所への配置)に、過失によって発生した破損や紛失。**
- 例:作業員が階段で落として外装が凹んだ、トラックからの荷降ろし時にぶつけて扉が破損したなど。
- 【免責事項(適用外)】:
- **水抜き不備による水漏れ**:水抜きが不完全で、他の荷物を濡らしたり、洗濯機自体が水でショートしたりした場合、**依頼主の準備不足**とみなされ保険適用外となる可能性が極めて高いです。
- **依頼主の指示による不適切な運搬**:依頼主が横倒し運搬などを指示し、それが原因で故障した場合。
- **ドラム式輸送用ボルトの未装着**:ボルトを付けずに運搬を依頼し、内部機構が破損した場合、**依頼主の準備不足**とみなされます。
- **経年劣化による故障**:運搬とは関係なく、古い機種が新居でたまたま故障した場合。
2. 保険適用を確実にするための鉄則と注意点
万が一の破損時にトラブルを避けるために、以下の鉄則を遵守してください。
- **「水抜き」と「ボルト取り付け」は完璧に行う**:これらを完了させておけば、業者は「依頼主側の不備」を理由に保険適用を拒否しにくくなります。
- **新居での「動作確認」をすぐに行う**:搬入後、水回りの接続(業者オプション利用時)または自分で接続を終えたら、**必ずその場ですぐに試運転**を行い、業者立会いのもとで電源が入るか、異常な音や振動がないかを確認してください。
- **「設置後の水漏れ」の責任範囲**:
- **業者が接続した場合**:業者の過失(締め付け不足など)による水漏れは、業者の保険が適用されます。
- **自分で接続した場合**:自分で接続した後に水漏れが発生した場合、**完全に自己責任**となり、床や建物に損害を与えても業者の保険は適用されません。
引越し業者の作業が完了し、**引越し業者にサインをしてしまうと、その後の責任は基本的に依頼主側に移ります**。そのため、サインをする前に、最低限の動作確認と外装のチェックを怠らないようにしてください。
よくある質問(FAQ)
引っ越しの際、洗濯機の水抜きはしなくても大丈夫ですか?
絶対に水抜きをする必要があります。水抜きをせずに運搬すると、洗濯機内に残った水(縦型で1〜3リットル程度、ドラム式はさらに多い)が運搬中の振動や傾きによって水漏れを起こします。これにより、他の荷物や新旧の建物を濡らす水濡れ事故、洗濯機内部の電子部品のショートや故障、そして引越し業者から「水抜き不備」による追加料金を請求されるリスクがあります。故障した場合は、多くの場合メーカー保証の対象外となります。
洗濯機の水抜きは、いつするべきですか?
引越し作業の「前日」に完了させておくのが最適です。水抜き作業自体は30分〜1時間程度ですが、ホースや洗濯槽内部の残った水分をしっかりと乾燥させるために半日(12時間)以上の時間が必要だからです。当日の朝に水抜きを始めても乾燥が間に合わず、湿気が残ったまま運搬すると、故障やカビ発生のリスクが高まります。前日の夜までに作業を終えるスケジュールを組みましょう。
引越し業者は洗濯機の水抜きをしてくれますか?
水抜きは基本的に依頼主(お客様)の責任とされています。多くの引越し業者は、水抜き・取り外し・設置などを**オプションサービス**として提供しており、その費用は縦型で3,000円〜10,000円程度、ドラム式では10,000円を超えることもあります。自分で手順に従って水抜きを完了させておけば、この**オプション料金を節約**できます。ただし、水漏れによるトラブルを避けたい場合は、プロのオプションを利用するのも一つの手です。
ドラム式洗濯機の水抜き・運搬で注意することは?
ドラム式洗濯機は、縦型に比べて特に以下の2点に注意が必要です。
- 排水フィルターからの残水排出:ドラム式には前面下部に「排水フィルター(糸くずフィルター)」があり、ここに1〜3リットルの水が溜まっています。必ずバケツなどで受けながらこのフィルターを開けて残水を抜ききる必要があります。
- 輸送用固定ボルトの取り付け:運搬時には、内部のドラム槽を固定するために、必ず背面にある「輸送用固定ボルト」を取り付ける必要があります。これを怠ると、運搬中の振動でドラム槽が暴れ、内部機構が致命的に破損します。ボルトは新居で必ず取り外してから電源を入れてください。
また、運搬時は縦型・ドラム式ともに「横向き(水平)」に倒して運ぶのは厳禁です。
まとめ:トラブルゼロの新生活へ!洗濯機の引越し準備「3つの鉄則」
本記事は、あなたが高額な業者オプションに頼らず、洗濯機の引っ越し準備をトラブルなく完了させるための「完全ガイド」としてお届けしました。
洗濯機の引っ越しで最も重要なのは、「水抜き」という最初のステップと、その後の「安全な運搬・設置」です。このガイドで解説した知識を実践することで、あなたは水漏れ事故や高額な追加料金といったリスクを完全に回避できます。
✅ トラブル回避のための最終チェックリスト
引越し当日に焦らないよう、ここで洗濯機引っ越しの最重要ポイントを再確認しましょう。
- 【鉄則1:水抜きは前日に完了】
- 引越し前日の夜までに、給水・排水・(ドラム式は)フィルターの水を完全に抜き、半日以上乾燥させる時間を確保してください。
- 【鉄則2:ドラム式は輸送ボルトが命】
- ドラム式洗濯機は、必ず輸送用固定ボルトを取り付けた状態で運び、新居で電源を入れる前に必ず取り外すこと。紛失時はメーカーへ注文を。
- 【鉄則3:運搬と設置は「水平」に注意】
- 運搬は縦向き(垂直)を徹底し、新居での設置は水平器で厳密に調整する。設置後の試運転(水漏れ・異音チェック)は必須です。
自分で水抜き・設置を行うことで、最大19,000円にもなる引越し業者のオプション費用を節約できます。
🚀 力強い行動喚起(Call to Action)
さあ、不安はすべて払拭されました。あなたの次の行動は明確です。
まずは今日、ドラム式の輸送用固定ボルトがどこにあるかを確認し、明日の夜の水抜きスケジュールを確保してください。
この小さな一歩が、引っ越し当日の大いなる安心と、無駄のないスムーズな新生活を約束します。この記事を印刷、またはブックマークし、手順通りに準備を進め、最高に気持ちの良い新生活をスタートさせましょう!



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